〈乳歯に虫歯が出来たのはとても悪いこと?〉


大切な子供の歯に虫歯が出来ればみなさんショックです。
でも子供が風邪をひくのは色々な免疫をつけるために必要でもあります。怪我をすることも、いやなことも、それは子供が大人になるために必要なことでもあります。

乳歯の時に虫歯が出来れば虫歯にたいする免疫力ができるのです。虫歯が出来たためにしっかり治すことの大切さ、咬むことの大切さ、お口のメンテナンスはどうしたらいいのかを乳歯の時に学べれば永久歯の虫歯のリスクは減ります。

〈乳歯の時に虫歯がない方が良い?〉


乳歯に虫歯が出来てしまい、痛い思いをして歯の大切さを学ぶより、いやな思いがなく学べれば良いかもしれませんが、 どうしても虫歯がないと慢心してしまい、中学校や高校で永久歯に虫歯ができてしまうかもしれません。

乳歯の時に虫歯ができても、正しいメンテナンスを学び、実践できたほうが、お子さんの口の中はより強い環境へと変わる事ができます。
事実幼い時に虫歯が多かった子供さんの方が大きくなってからしっかりとメンテナンスができるようになられているケースが多いです。

〈しっかり磨けていれば虫歯にはならない?〉


食べたらすぐ磨く!甘い物は与えない!おやつをを食べてもすぐ磨く!ジュースは控える!磨き残しがないようにしっかりと磨かなければいけない!などなど
そんなことできるでしょうか?
できている人はいます?(そんな人を少しは診たことがありますが、決してお口の状態が良かったわけではありませんでした。)

もしできていたなら虫歯にはならないでしょうか?
私の経験では虫歯になる人は何をしてもなると思います。
ならない人は何もしないのにならない人もいます。

じゃあ、何もしなくても良いのではありません。
ならない人でもしなければさらに悪くはなるし、なる人でもしっかりできていればより良くはなります。唾液も沢山出るようになりますし、その結果免疫力もあがります。

歯磨きは1日3回、食後すぐに! 寝る前は必ず親が仕上げ磨きをする!

私も子供ができるまではお母さん方にそう指導していましたし、できていないお母さんには厳しかったです。
でも私に子供が3人できたら無理なことがわかりました。

ある小児歯科医師の集まりでも、診療中にお母さんに指導していることを自分も実践している歯科医師は実は誰もいませんでした。私も含めて皆、患者さんには厳しく、自分には甘かったと思いました。

小さい子供の歯を完璧に磨くのはとても難しいし、寝てしまったり、むずがったり、、、。私は「こんな無理なことを指導していたんだな」と反省しました。
そしてお母さん方にも優しくなりました。

私の子供3人ともしっかり虫歯をつくり少し痛い治療をしましたが、そのお陰?で皆が歯の大切さと管理の大切さを学び、今は奇麗で丈夫な歯で過ごしています。

〈乳歯の虫歯は親の責任?〉


虫歯の原因は磨けていないことだけではありません。
食生活から遺伝、体質など複雑に関係しています。子供なりにストレスがあれば唾液の分泌が少なくなり虫歯のリスクも増えます。

指導されているブラッシング方法など、かなり不可能なことを無理にしようとしても、不可能が可能になるのはまれでしょうし、無理にするから親にも子供にもストレスがかかります。今の食品は調味料も含めて虫歯になる要因が多いし、ストレス社会ですから全ての人の唾液の能力が落ちています。

つまり子供の虫歯は親の責任だけではないですから、自分を責めないでください。
また親の思い通りに磨かせない子供も責めないでください。
どんどん歯磨きと歯医者嫌いになるかもしれません。

〈子供の歯磨きはどうしたら良いのでしょうか?〉


  • 一番大事なのは子供が歯磨きをいやがらないようにすることです。
  • いやがるのは何故いやがるようになったかです。
    親が無理して、ストレスをためて怒りながら歯磨きをしたからでは?
    たとえその日ブラッシングできなくても1日で虫歯にはなりません。その時に子供を怒らないで、うまくできなくても自分も責めないで
    「まあ、いいか」をルーズなどうでもいい加減ではなく安心な気持ちの良い加減が大事です。
  • 1日3回も不可能ですから、1回で良いですからしっかりメンテナンスしましょう。
  • 不適切なブラッシングを3回しても磨けていないところはいつも磨けていません。それより1回でもしっかり磨けているブラッシングをした方が良いです。
  • 起床時はお口の中の細菌数が一日のうちで最大になっていますので、簡単で良いのでお口の清掃をするのが望ましいです。
  • 食後すぐのブラッシングは良くありません。
  • 夜にすぐ寝てしまう子なら早いうちにブラッシングをするようにしてください。お風呂中とかテレビを見ながらでもいいです。
  • 親に時間と余裕があるときには仕上げ磨きをしてあげてください。

どうしても治療をいやがる子供さんにたいして


5才ぐらいまでは治療をとてもいやがる子多いですが当たり前のことです。
だから協力的になるまで待ってあげることも必要です。 今は歯の質を強化しむし歯の進行をかなりおさえることが出来る素晴らしい歯磨き「ファバラ歯磨き」も登場しました。
これはフッ素やキシリトールとは比べられない程の効果があります。また牛乳のカルシウムやリンという歯に大事なミネラルを多く含んだ「M1ペースト」でフッ素以上の歯の再石灰化をはかります。
まず応急処置や歯磨き指導など歯の治療に慣れて来ても中々 協力的にならない子は本人の決心が出来るタイミングを待つことも重要です。
笑気鎮静法も活用しましょう。

歯の質自体を強くするには


生きている歯には血液が流れて水分も 豊富にあり乾燥していません。その中には酸素もしっかりあるのです。虫歯に なった部位は酸欠になっています。それを補い予防するには実は鉱物性の鉄がとても大切だったのです。

鉄鍋、鉄のフライパンの使用をおすすめします。火を燃やす時には大量の酸素が必要です。その豊富な酸素で温められた鉄器具から出た鉱物性鉄が歯を強くし、貧血の改善にもなります。

「重い。錆びる。」との声もありますが、ぜひご家族みんなの歯と身体のため推奨します。

指しゃぶりで悩んでいるご両親へ


子供の指しゃぶりが原因で歯並びが悪くなるのは決して多くありません。でも保健所でも言われたからと悩んでいる方は多いですね。苦いマニキュアを塗り、爪かみや指しゃぶりを防止する商品もありますが、それは対症治療にすぎません。何故なら指しゃぶりは「結果」だからです。「原因」を治さないで結果の指しゃぶりを無理矢理やめさせればその「原因」は唇を咬む癖や、もっと治しにくい癖へと変わります。 ではその「原因」はお子さんの精神面にあるのではないでしょうか? もっと甘えたいとか。両親にストレスがあればそれは子供のストレスに繋が ります。まず、「原因」をしっかりみないと問題は解決しないのではないでしょうか。